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Austrarian Trance-Disk Guide




【オージートランス・ディスクガイド】



 日本列島をずうーーーっと南下していくこと数千マイル。そこには広大なオーストラリア大陸が……。イスラエル、日本、そしてオーストラリア……なぜかトランスが盛んな3大サイトラ国家(らしいのです)。シーズン(日本の冬、が向こうは夏)ともなれば、大規模な野外パーティが広大な平野の果て、毎週のようにどこかで催され、独特の活動をみせているトランス・アーチストやレーベルが林立する……

 残念ながら僕は、オーストラリアのパーティに行ったこともないし、オーストラリアのトランス(以後、オージー・トランスと略)がどんなものかについても、以下に列挙するようなアルバムを聞きかじった程度の見識しかないわけで、とくべつこの分野の専門家でも何でもありません。しかしイスラエルやジャーマン〜北欧界隈のトランス・シーンと較べ、さほど日本でも注目度が高いともいえず、まとまった紹介もされていない、このあたりの“音”と“人”について、もすこし日本のトランサー〜レイヴァーに興味と関心を持っていただきたいがため、わかる範囲&妄想でもって、こういう紹介コーナーをつくった次第……と“いいわけ”はこのぐらいにして、以下にオージートランスの代表選手と目ぼしいアルバムを列挙し、その魅力と度し難さの片鱗を、のぞいていきましょう。


SPACE TRIBE オーストラリアを代表するサイケデリック・トランス・ユニット1

■Sonic Mandala / Space Tribe   (SZR017CD)
ドイツのSpirit Zoneからアルバムを出し続けている.Space TribeことOlli Wisodmさんは、れっきとしたオーストラリアン。この“Sonic Mandala”は彼の1stアルバムで、ハルシノゲンことSimon Posfordクンも2曲ほど参加。音も、チョイきつめに曲がってます。96年往時のゴア音、満載です! 
 またOlli Wisodmの奥方、Cicadaさんの手による洋服ブランド“Space Trib”も要チェックであります! 濃ゆいゴアトランス系のパーティ会場で、どサイケなフラクタル〜オプチカル模様のゴアパンやシャツを着ている方を、時おりお見かけするかと思いますが、べつだんあれはチンドン屋から借りてきた衣装なわけではなく、立派なゴア服(のひとつ)なんですぞ! というか、ムカシのパーティは、いわゆるSpace Tribe Wareの正装で踊っているツワモノが、必ずフロアの中央に陣取っていた、とか。不肖わたくしめも、こないだイギリスから取り寄せてもらいました。
参照サイト●SpaceTribe Galaxy 2000.http://www.spacetribe.com/


■The Ultraviolet Catasrophe / Space Tribe (SZR031CD)
で、こちらがそのSpace Tribeの2ndアルバム。97年度。Space Tribeの曲は“さー、今日も元気でいってみよー”みたいな、いかりや長介チックなMCがしばしば入ってて、それが独特の体育会系ノリ?を醸し出しているともいえます。3rdも4thも(ワンパターンとはいえ)気合いの入った、アッパーゴアの佳作を作り続けていて、頭が下がります。
さらに特筆すべきは(スペトラ服にも通じる)一連のアートワークで、これまで出ている4枚のアルバムジャケット、どれも秀逸な“どサイケデリカ模様”を描いてて……見てて飽きません(試しにブラックライトにあてて、3Dメガネで見てごらんなさい、うわっ!)。……というか、スペトラ柄を見て“だっせ〜”とか“コテコテじゃん!”とか思うひとは、ゴア・トランスそのものが(生理的に)向かないだとおもいます。オウチで2ステップとか聴いてろよ!(いささか暴言)


PSYCHO DISCO オーストラリアを代表するサイケデリック・トランス・ユニット2

■ Psyko Disko - Psycho Disco (PSY030CD)
英国Flying Rhinoでもライセンスされてますが、もともとはPsy Hamonics(下記参照)からリリースされていた、97年度のゴアトランス名盤。S.Psyko さんとFred Discoさん」とOllie Olsenのユニット。レトロなミラーボールが大写しのジャケットになにやら不吉な予感を感じるひともいるかもしれませんが、中身はなかなか勢いのあるトランス。サンバ調あり、ゴアあり……と飽きさせません。余談ながら、Fred Discoさんは98年にこだまの森でやった、Vitamin -Q の野外で、来日してましたね……たしか。


Psy Hamonics オーストラリアを代表するサイケデリック・トランス・レーベルその1

■Psy Harmonics 1 / V.A. (PSY009CD)
Third Eye、Mystic Force、Zen Paradoxといったアーティストを核に始められたレーベル、Psy Harmonics。けっこう90年代初期から活動してて、一部はMFSみたいなジャーマントランスからもライセンスドされていたよう、わりと奇麗目のアンビエント〜エレクトリカなトランスを模索していた……とおぼしき作風が、この初期コンピでは伺えます(最近でもその面影は、ないことはないのだけど)。


■Psychic Hamony: Psy Hamonics 1993-1998/ V.A. (PSY038CD)
とりあえず、オージーサイケの看板レーベル、Psy Hamonicsの歩みを概観するのに最適な2枚組ベスト。トランス篇は、MasaさんとRay Castle (後述)のユニット、Massaray やRee-K嬢の極‐初期作品など交えて、Sonic Sufi, Rip Van Hippy, Shaolin Wooden Men, Antediluvian Rocking Horse, The Visitorsあたりの楽曲がツラツラ……。オージーサイケ・サンプラーとしてもイケます(最近の作風まではフォローされていないけど)。しかし本コンピの真価はむしろ、Disk-2のアンビエント篇で、Third Eye、Mystic Force、Zen Paradoxあたりから Grey Area、 Aquila まで、ディープなアンビエンスを満喫できます!


■ Psy Harmonics 4 / V.A. > ( PSY040CD)
上のコンピレーション"Psychic Hamony"が、93〜98年としたら、これはそれ以降の、まさにPsy Harmonics最新形体を象徴するような(ある意味かなり実験的な)コンピレーション。Texas Faggott、 Shaolin Wooden Men、 Rip Van Hippy 、Antideiluvian Rocking Horse……どれもかなり“壊れた”トランスです。また01のSinister Association - How does it taste? は日本人による、超かっこいいチューン!これを初めて聴いたのは、99年の春、山小屋のうてんきで与田さんが復活したNight and Dawn終了後の明け方、のうてんき前の駐車場で、清野さんが“ゴア1号機”でこのアルバムを鳴らしていた時……こんなガチャガチャしたトランスがあるんだ!って、ビックリした想い出があります。


■Music For The Odd Ocassion / Antediluvian Rocking Horse   (PSY023CD)
ジャケットみて、これがトランスだとは、なかなか思わないかもしれないなあ……よく渋谷のシステクに入荷してましたなぁ……かくいう僕も、中古で売ってたのを買ってきて、試し聴きしてみたら、なんかコラージュ・ミュージックみたいなトラックもあり……で、誰にでもお勧めはしかねるが、こういうスタイルもまた、オージーならでは!ってことで。。。


■Texas Faggott - Texas Faggott   (PSY042CD)
これまた、およそサイケデリック・トランスらしからぬ……というか、ラエリー系とは別の文脈での“ダサジャケ”が目印の、Texas Faggott さん。裏ジャケに写っているメンバー(だよね?)の格好も、イカサマ・カウボーイ勢ぞろいで、ますます買う気が失せますが、もしかして超カッコヨカッタラ……というあわい期待と不安を胸に、ドキドキで購入してみた……ら、

音は見事に、ブッ壊れ系!

完全にグチャグチャしてるものから、リズミカルなものまで、まあ曲調にも幅は、あります。でもスクエアなトランスしか聴かない人のお耳には、たぶん合わないかもしれず...ちなみにクレジットによれば。Texas Faggottさんたちは立派なフィンランド人だそうで、本作もヘルシンキでレコーディングした、とのこと。フィンランド人がにせカウボーイの格好で、オージサイケやっている……なんなんだ?


Edgecore Releases オーストラリアを代表するサイケデリック・トランス・レーベルその2

■Lucid Dreaming / A.B. Digeridoo Oblivion   (ECCD001)
Edgecore の主宰、Nick Taylorさんのことは以下で話すとして、このA.B. Digeridoo Oblivion君。ByronBay在住で、日本にも毎年のように来日しており、素敵なライブを披露してくれてます。彼はディジュリドゥーを吹きながら、エレクトリックパーカッションを叩き、さらにシンセを操るという、アクロバティックな大道芸的演奏で、見事な“ひとりトランス”を披露してくれます。わたくしは99年秋のこだまの森のVisionQuestで、X-dreamとJotiのあと(ほとんど正午近く)に飛び入りしたA.B. のライブをステージ最前列、かぶりつきで見たのですが、ホントにひとりでトランスでXドリームの御株を奪っていたので、腰をぬかしそうになりました。本作はそんなA.B.の代表曲を収録。収録時間53分と短めですが、曲が曲だけに……このジャケに目をつぶっても、購入する価値は....。


■Free As / V.A.    (ECCD002)
Nick Taylorさんといえば、かつてツヨシ兄さんとタッグを組んで、PRANA等で活躍しており、日本にもMATSURI系のパーティや春風などで毎年のように来日しているので、お馴染みの方もいらっしゃるかとおもいます。2000年の春風では、EatStaticの新譜とかゴーゴーとかかけてましたね(冷汗)。そんなNick(オレじゃないよ)が主宰するEdgecore ……曲調はオージーらしく、なんともとりとめもなく、非4つ打ち〜歌モノ〜変速ゴチャゴチャモノ、雑食系の極みといえましょう。ちなみにEdgecore はつい最近、新しいコンピがまだ出たみたいだけど、まだ未聴っす……やっぱしブッ壊れ系なのかなあ?


Demon Tea Recordings (DMT)
オーストラリアを代表するサイケデリック・トランス・レーベルその3

■Oozie Goodness - The Eye Opening Elixir / V.A    (DMTCD02)
DMTレコーズ、主宰しているRay Castleさんはその昔、イクイノックスの方々が最初に日本で野外パーティを開こうとした際、野外でパーティを行なうことのノウハウを、あれこれ指導してくださった……いわば日本レイブシーンの育ての親、のひとり、だそうです。もうそうとうイイお歳とお見受けされるので、ここではRayおぢさんと愛称で呼ばせていただきます。さて、そんなRay率いるDMTのコンピレーションが、この“The Eye Opening Elixir”。中身は……ジャケットどおり、森の木陰でドンジャラホイ!チックなトランスです(わかりますかこれで、みなさん?)。決してダンサブルではありませんが、いろんな曲調が入ってて……慣れてくるとこれがけっこうクセになったりして(笑)。


■Exotic Matter / Astral Attache   (DMTCD04)
そのRay Castleさんが満を持してリリースした、フルアルバム……しかし中身はドラムンベースあり、ブレイクビーツあり……といっても最近のブレイクトランスやフリースタイル系のトランスともまた違って、お、踊りづれえ! “壊れ系”などと称されることの多いオージートランスですが、その中でもいっとう壊れてるのは……たぶん……このRay Castleおぢさん周辺かもしれません。ちなみにDMTCD03にあたる、SUSUMU YOKOTA氏とRay おぢさんのユニット、"Mantaray - Numinous Island"は、お化け屋敷系アンビエントの絶品! 別の意味でチルアウトしますが、夏の夜に不用意に聴いてると……寝小便しても知りません。


オーストラリアのレーベル〜アーティストは、上記以外にも色々いらっしゃるのですが、ここではホントに入門&導入の部分だけしか紹介できませんでした。機会があって勉強も進んだら、パート2をやる……かな? 最近でいうとTSUYOSHI兄さんのマブダチ、BANBANことJetmoreとか、ファンキーなトランスをかけるDJも、オーストラリア勢の特徴のひとつであることを(とってつけたように)付記して、この項をしめさせていただきます。
 


(告:オージートランスについて、もっと詳しい方、気が向きましたら、掲示板.トランス・ディスク・ハンターででもご教示いただけると、ありがたいですハイ....)



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