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Ambient Trance-Disk Guide




【アンビエントトランス・ディスクガイド】



 アンビエントっていってもいささか広うございますが、最近個人的にハマっているのがいわゆるエスニックミュージック(民族音楽)っぽいテクノ。オーストラリアのアボリジニーのディジュリドゥにしても、バリのガムランにしても、アフリカン・パーカッションのアンサンブルにしても、先住民族とか辺境の地に住む方々が醸しだす歌声や演奏には、人力トランスともいえる天然の酩酊感があって、さすがは大自然や植物と共に生きる方々、わかってらっしゃる! と声を大にして賛辞を送りたいところですが、ところがどすこい、いわゆるネイティヴの方々の歌や演奏をまんま録音したものを聴くと、どーもいまいちベタで、案外素直にのめりこめなかったりも、します。ワガママですね。

 しかーし、テクノやダブやトリップホップな方々が、それらを素材にしっかり調理されたトラックには……原始と電子のドッキングと申しましょうか……今風のリズムトラックの上にいにしえのジュブジュブ音響が折り重なって、「なにコレ凄いじゃん」とゆうような素晴らしい仕上がりが多く、ご家庭での「なごみ」にも格好のネタなんですよ……というわけで、申し訳程度ですが、各ディスクの紹介をとっととやります。

1■V.A./ Ethnotechno    (TVT 7211-2)
94年作。文字どおりエスノ風テクノのコンピレーション。Juno Reactorの首領ベン・ワトキンスさん大活躍!  Sabres of Paradise、Total Eclypse、N428名義でケン・イシイも参加。サブタイトルに「Sonic Anthropology Volume 1 」とあるけれど、残念ながらVolume 2は作られなかったみたい……。


2■V.A./ Indiens-Sacred Spirit-Dance Remixes    (Virgin/7243 8 41345 2 5)
ヴァージン・レコードから出た「Indiens-Sacred Spirit」のダンス・リミックス集。インディオ・ソングとテクノの華麗なる融合……などと書くといかにもだが、William OrbitからUtah Saints、The Grid、C.J. Bolland、Howie B.にいたるリミキサー陣の豪華さをみればナットク! 知人いわく、ゴアのカフェでもかかっていたそうな。


3■V.A./ Ambient Amazon    (TMD CD1)
エクアドルの熱帯雨林に住むワオラニ族の唱歌をTribal Drift、Astralasia、Zion Train、Suns Of Arqa、Timeshardといった錚々たるメンツがリミックス。ダビーなトラックはずっど〜んと重たくハメてくれてヘヴィスモーカー仕様。レーベルのTUMI MUSICは世界のネイティヴ・ミュージックをいっぱいいっぱい出してるレーベル。


4■V.A./ Trip To The Andes    (TMD CD2)
上同様、TUMI のエスノテクノ・コンピ第2弾。今回はアンデスの古代インカ音楽が元ネタで、T-power、Transglobal Underground、Pylon King、Fun-da-mentalといった布陣がリミキサー。アマゾン篇よりドラムンベース&トリップホップ感がより濃厚で、ちょっぴりアーバンなジャングル・クルーズ・ミュージック。


5■Spirit Of Meditation    (spiricd2)
「Native American篇」「African篇」「Aboriginal篇」の全3枚組からなるトライバル・チルアウト・ディスクの白眉。一見するとチャラいヒーリングCDかと思うかもしれませんが、この「Spirit Of 〜」シリーズはしっかりDJミキシングされてて、1枚1曲60分ぐらいの遠大なストーリーが展開され、深夜のホームリスニングには最適。


6■Dance 2 Trance / Moon Spirits    (INT 845.567)
ほかのディスクと肌合い違うけど……オマケっす。のちにジャム&スプーンを結成するジャム・エル・マーさん所属の伝説のジャーマントランス・ユニットのファーストアルバム。シングルカットされた「P.OWER OF A.MERICAN N.ATIVES」やジャケットを飾る脱力イラスト(『ガロ』系?)からもうかがえる、奇妙なインディオ崇拝が音遣いにも反映(?)された珍盤。



 西洋人によるエスノ音楽の発掘&加工という作業は……ポピュラー音楽畑でもそれこそ、ブライアン・ジョーンズの『Joujouka』あたりをルーツに、けっこうけっこう実例はあまたあるのですが、今回は比較的今風に聞きやすいもの、ということで見繕ってみました。とはいえここで取り上げたディスクはどれも新譜でもなく日本盤すら出てなかったりして、外資系CDショップでもそうそう見かるものではありません。でもでも、時おり中古CDの棚に(それも千円以下で)流れてますので、都会のお友達はまめに漁ってみることをお勧めします。お金持ちのひとはインターネットのCD通販ページ(Music Blvd.とかCD nowとか)で注文してみるのも、よろしいかと思います(検索したらけっこう出てきましたから)。

 アーンド、インディオ/アンデス/アマゾンの各コンピレーションに名前を連ねているのが元キリング・ジョーク/現ドラゴンフライ・レコードの重役ことYouthさん……いやぁ彼の参加しているこのテのコンピにはハズレがないので、ぼかあ彼の名前を目印に、もっぱらこのへん漁ってます。皆様も自分なりの目安をみつけて、自宅に居ながらにして世界の辺境をトリッピングできる幻覚性音楽を探してみてください。
(注:この文章は、とある雑誌に「幻覚性音楽ミニ・ガイド@」というタイトルで書いたものをアレンジしたものです)



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